SAITO RADIO かわさきFM 79.1

#09

2026年04月28日

GUEST:SHUMA|
飲食店経営/マスター

CATEYE|SHUMA

今回の放送はコチラ↓

 

 

|studio photo

斉藤高広

【最終回】

|People’s Story

小さなスナックに、日本中から人が集まる理由
〜“高揚感”をつくる男・スナックCATEYE マスター SHUMA〜

 

人が集まる場所には、理由がある。

 

立地がいいとか、料理が美味しいとか、価格が手頃だとか。
もちろんそれも大切な要素だ。
でも、それだけでは説明がつかない店が、たまにある。

関内のとある小さなスナック。
決して広くはないその店に、日本全国から人がやってくる。
わざわざホテルを取り、「その店に行くためだけ」に横浜へ来る人もいるという。

普通に考えたら、少し不思議な話だ。

でも、その理由を知れば、きっと納得する。

SHUMAという男は、「場をつくる人間」だ。

タイでの長い生活。
昭和歌謡への愛情。
そして矢沢永吉という圧倒的な存在へのリスペクト。

一見バラバラに見えるその要素を、
彼はひとつの空間の中で自然に混ぜ合わせている。

けれど、本質はそこじゃない。

彼の本当のすごさは、
“今この瞬間の空気”を読む力にある。

店の中では、いくつもの会話が同時に進んでいる。

誰かが昔のライブの話をしている。
誰かが旅行の思い出を語っている。
誰かが、ただ静かにグラスを傾けている。

そのすべてを、彼は聞いている。

そして、何事もなかったかのように——
その会話にぴったりの映像や音楽を、すっと差し込む。

この、日本で誰もやっていないようなパフォーマンスを、
誰が言い出したのか、「YouTubeDJ」と人は呼ぶらしい。

ほんの数秒後に。

「あの時の曲、覚えてます?」

そんな一言とともに流れる音楽。
モニターに映し出される、懐かしい風景。

その瞬間、空気が変わる。

人は、過去に戻る。
その時の自分に戻る。

そして、少しだけ涙ぐむ。

SHUMAはそれを、「高揚感」と呼んでいた。

人が感情を動かされる瞬間。
誰かと共鳴する瞬間。
その場にいる全員の“気”が、一段階上がる瞬間。

彼は、その瞬間をつくるために店に立っている。

面白いのは、それが意図して作られたものではないということだ。

最初から完璧なコンセプトがあったわけじゃない。
ただ好きなものを並べて、やってみた。

タイ。
昭和歌謡。
永ちゃん。

そこに、YouTubeという道具を掛け合わせた。

そうしたら、気づいたら形になっていた。

そして気づいたら、人が集まる場所になっていた。

同じものが好きな人が集まると、
言葉はいらなくなる。

初対面でも、会話が始まる。
一瞬で距離が縮まる。

「どのライブ行ったの?」
「どの席だったの?」

そんなやり取りが、自然に生まれる。

アウェイ感がない。
居場所になる。

それは、空間の設計であり、同時に人の力だ。

ぼくは、彼の店に何度も足を運んでいる。

そしてもう一つ、ここで書いておきたいことがある。

SHUMAは、ただのゲストではない。
高校時代からの、大切な友人。

あの頃から、どこか人と違う感覚を持っていた。
人を楽しませることに、異様に真剣だった。

でも、それがこういう形になるとは、正直思っていなかった。

今回、サイトウラジオの最終回に彼を呼んだのは、
偶然ではない。

最後に誰を呼ぶべきかと考えたとき、
自然と彼の顔が浮かんだ。

理由はシンプルだ。

「場をつくる人間」だからだ。

ラジオもまた、小さな“場”だった。

誰かの話を聞き、
誰かの人生に触れ、
少しだけ視点が変わる。

そんな時間。

その最後に、
人を高揚させることを生き方にしている男を呼ぶ。

これ以上ない締め方だと思った。

収録の最後に、彼のために選んだ曲がある。

矢沢永吉「トラベリン・バス」

ライブのラストで流れることもあるこの曲は、
その場にいる全員のテンションを一気に引き上げる。

終わりなのに、終わりじゃない。
むしろ、ここからもう一度始まるような、あの高揚感。

あの感覚は、
彼の店で起きていることと、どこか似ている。

そしてもう一曲。

矢沢永吉「もう一人の俺」

彼自身が語っていたように、
この曲との出会いが、今の彼をつくっている。

もう一人の自分に背中を押されるようにして、
ここまで来た。

その結果が、
今のスナックCATEYEだ。

ぼくは思う。

彼はきっとこれからも、
誰かの中にある“もう一人の自分”を引き出し続ける。

音楽で。
空間で。
会話で。

人の感情を動かしながら。

そしてその周りには、
これからも自然と人が集まり続けるだろう。

またどこかで、このラジオをやる時が来たら。
その時もきっと、こういう人たちを呼びたいと思う。

そして最後に。

一年間、サイトウラジオを聴いてくださった皆さまへ。
そして、この最終回に来てくれたSHUMAへ。

本当にありがとうございました。

Writing:斉藤高広

INFORMATION

スナックCATEYE|キャットアイ
神奈川県横浜市中区相生町5丁目96ー1 1F

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